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1989年(平成元年)9月号

秋、スタートにあたって〜志望校合格のために 何より大切なのは〜

■「この学校に入りたい!」

 さあ二学期の始まりです。「この夏休みは充実していたぞ」という人も、「もう一つだったなあ」という人も、気持ちを入れかえて、二学期のスタートをどう切るかに全力を集中してほしいと思います。
 特に、夏休みの過ごし方が今一つ不満だったという人は、「やれなかった事」を二学期まで引きずってしまわないようにしましょう。「夏休みは夏休み、二学期は二学期」と考えて、もう一度、全体の計画を練り直すほうが大切です。
 小六・中三の諸君は、この二学期で、自分の成績や状態にあわせて、志望校を絞り込んでいくことになります。
 受験の心構えとして、何よりも大切なこと―それは、「自分はどんな学校を選ぶのか」を考え、「ここに本当に行きたいんだ」という気持ちをしっかり持つことです。
 この夏休み中、志望校に一回か二回は行ってきたでしょうか。「まだ」の人は、ぜひとも行ってみてください。“合格の秘訣”として一番大切なのは、「この学校に入りたい」という気持ちを持ち続けることなのです。
 自分は将来、何をしたいか、おおよそでも思い描きながら、「どんな学校を受けるか」を決めて、その学校を訪ねてみましょう。「ここへ入りたい」という気持ちを“実感”として持つのが一番大切なことなのです。

■“手慣れたもの”をつくっていく

 学習面では、夏休みが終わった段階で志望校を決める場合、その学校の過去に出題された問題を、家で時間を決めてやってみるのがいいでしょう。そして解答を見ながら、厳しめに自己採点してみるのです。今の時期なら、六割をとれていることが志望校合格のために必要です。
 志望校の絞込みが済んだら、勉強の仕方を一学期までとは変えていきましょう。いろいろなものをやるのではなく、志望校の入試傾向に沿った問題集や参考書に繰り返し立ち向かい、徹底的に自分のものにしてしまうのです。入試傾向は過去の出題三年分ぐらいを見れば分かりますが、分からないときは先生の相談してみましょう。
 一~三月の追い込みの時期になって繰り返し見ることのできる“手慣れた参考書・問題集”を作っていく―こんな心構えで二学期を過ごしていきましょう。

■「分からないもの」をチェック

 さらに詳しく言えば、この時期、テーマや問題ごとに、「分かっているもの」「できないもの」に分けて印をつけていくことが大切です。そうして、二学期の後半から直前期にかけて、「できないもの」を繰り返して追い込むのです。
 苦手科目・苦手テーマは「苦手だ」と思ってしまうために、勉強する回数が少なくなり、なじみが少なくなっているものです。苦手をなくすにはまず「慣れること」。毎日見て慣れておくのが大切です。
 二学期にやるべきこと―それは志望校の重視科目・テーマを見極めた上で、「分かっている問題・分かっていない問題」を追い込みの時期に向けて絞り込んでいくことなのです。

■ご父母の皆様に

 二学期が始まり、特に小六・中三にとっては、今まで以上に「受験」が意識に上ってくる時期になってまいりました。
 最近の受験事情を見ますと、例えば大学入試では亜細亜大・多摩大・流通科学大などのように、社会に出てから世の中に直結する力を付けることを目的とする大学が増えております。また、海外留学が増加し、その逆に海外の大学が日本国内に分校を設置するケースも目立ち、大学入試も「国際化」の波に洗われています。
 しかし、一方では、東大を頂点とする有名校が依然として大きな力を持っているのも事実であり、入試状況が根本的に変わってしまうわけではないと言えます。
 ただ、選択の幅が広がっているのは確かであり、子どもたちが世の中に出るとき、一番力を発揮できるのは、どのコースなのか、ご両親が見極めてあげてほしいと思います。
 中・高を含めた入試状況も、ここ数年で様変わりしております。特に私立校はいずれも難化が目立っており、ご父母の皆様が学校生活を送られたころとは、入試の事情が大きく変わっているのが現状です。お子様の志望校の現状、入試の実態をぜひとも知っていただきたいと存じます。

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