全編において作画がスタートしたことをうけて、 絵コンテについてお話します。今回、 絵コンテとは、アニメ作品の骨組みとなる設計図です。 文字で書かれたシナリオにそって、どんな絵柄で場面を展開し全体を構成していくかをつめていき、大まかな絵を描いていく作業です。
まずは、ひとつのシーンをいくつのカットで完成させるかという構成の問題。 次にそれぞれのカットの中に誰と誰を登場させるか、シーンごとのシナリオ登場人物をより効果的に登場させます。またその背景や小物の配置をどうするかです。

これが出来上がってはじめて、作画がスタートしていきます。 今回「八月のシンフォニー」でも、全編を3つのパートに分けて、 今年の初めから、絵コンテ完成にむけて、西澤監督、絵コンテと演出の島津さん、村上プロデューサー中心にじっくり時間をかけて取り組んできました。 家を建てる時も、同様、設計図が重要です。アニメ制作も同じです。 実写映画であれば、俳優さんが演じるので、その場その場で監督がO KやN Gを出すことができますし演技指導もできます。アニメはこの絵コンテにそってアニメーターさんたちが、何万枚もの絵を書き上げていくので、ここをおろそかにしたら後が大変。 シナリオに忠実に映画を作っていくことにはならなくなってしまうのです。
で、7月末、残っていた最後のパートの絵コンテが完成し、これですべての作画に入ることになりました。もちろん、絵コンテが完成した箇所から、すでに作画に I N しています。

★西澤アニメとカメラ撮影★
実写映画に近い映像を作り上げるために、西澤監督のアニメでは、1・2作目同様、カメラを重要視しています。
アニメなのにカメラ?
と不思議に思う方もいるでしょうね。
実写映画のようなアニメを描き出すために、
この作品ではほとんどのシーンを実際に撮影しています。例えば、博多湾クルーズのシーンでは、
実際現地に行ってクルーズ船の大きさや船から見える景色を撮影し、アニメ制作に必要な素材をそろえます。
また、事務所で何人かが会議をしているシーンや食事のシーンでは、劇団員の皆さんにシナリオどおりにお芝居をしてもらって、それをビデオ撮影して登場人物の細かい仕草を描きます。
さらに、事務所の広さ(縦横の長さ)、天井の高さ、窓の大きさなど、はじめに設定した事務所を3D C G で作り、どの高さまでカメラを入れることができるかを考えます。事務所の様子はどう見えるかを考えて、画面の構成をします。
実際ありえない、無理なカメラ位置での描き方はしません。
天井高3メートルの事務所なのに、それよりず〜っと高い5メートルのカメラ位置から見た、人々の様子を描くことはしないのです。
細部にわたってこういうことを考えることで、誇張のない、きわめて実写映画に近い!映像を生み出すことができるのです。
絵コンテ完成までには、数々の難問がありましたが、それをひとつひとつ解決することで、映画全体のイメージが出来上がってきたのです。
絵コンテをいくつか、お見せしましょう。 次のページへ