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1990年(平成2年)2月号

出会いの春に向かって〜力を思いっきり発揮し 自分の受験」をしよう〜

■蓄積したものを出しきろう

 新しい年もあっという間に一ヶ月が過ぎ、いよいよ入試本番の時期を迎えました。今まで勉強してきたこと、いろいろな先生方から聞いてきた話を心の中で何度も反復して、最大限の効果を発揮できるように頑張ってほしいと思います。
 入試ではたいていの場合、七割取れば合格なのです。その意味では競争率がどんなに高くても関係ないし、完璧に百点を取る必要もないわけです。「できる問題」から始めて、それを確実にものにしていくのが大切です。
 また、スポーツの世界では本番の試合に臨むときに「イメージトレーニング」をするそうです。入試でも「自分は、この試験でリラックスし、自分の持っているものを最大限そこに発揮できる」と心の中で何度も何度も繰り返し、イメージトレーニングを行うのも一つの方法です。
 大切なのは「今までやってきたことを最大限発揮するぞ」というこころ構えであり、いい意味での開き直りなのです。「成功したい・合格したい」という願いだけを強く持ち過ぎると、失敗を恐れるあまり、「守り」の姿勢が出て、気持ちの余裕が持てなくなってしまう心配があります。

■「結果」を生かそう

 どんなにいろいろな事を思い願っても、入試の結果は合格か不合格しかないのです。「入試」の真っただ中にいる人にとっては、結果の良し悪ししか見えてこないかもしれません。
 しかし、入試に限らず物事は、一定の時間が経過して振り返ってみると、「いい結果」を得たために苦しむ人が居たり、「悪い結果」でも自分にとっては、かえって良かったんだなと思うことが大変多いものです。
 要は結果が出た後、自分なりにどう一生懸命生きていくかによって、結果を生かすことにも、殺すことにもなるのだと思います。小六・中三の諸君の受験もまた、人生の中の大切な挑戦ではあるのですが、その後の長い人生から考えると、そして次の大目標から考えると、目標達成のための一手段でしかないといえるのです。
 もちろんゼミの先生方は、入試に挑戦する諸君全員が朗報をもたらしてくれることを願っているのですが、結果がどう出ても、自分で挑戦した「自分の受験」の総まとめの意味で、自分で学校やゼミの先生に報告してほしいと思います。そしてゼミにも最後まで出席しましょう。
 それができる勇気のある人は、長い人生の中で必ず自分の個性を発揮し、成果をあげていけることでしょう。

■いい仲間たちとともに

 これからの時期、ゼミにも春講にもたくさんの新しい仲間たちが入ってきます。いろいろな学校に在籍し、それぞれ頑張っている人ばかりです。
 そんなゼミや春講では、自分の学校や近所の友達ばかりではなく、全く新しい「いい仲間」との出会いがあります。
 直接会うことのできる仲間だけではなく、「センターニュース・びう」や「成績優秀者一覧」の紙上でも、全国の都道府県で、自分たちと同じようにゼミや講習会で頑張っている仲間たちを知ることができます。
 「自分はまだまだだけど、全国にはこんなにできる人もいるんだな」―そういうことを仲間の中に見出すだけでも、大きな刺激になっているはずです。
 せっかくゼミで勉強しているのですから、“紙上のライバル”を見つけ出すのもいいですし、自分の校では、できるだけ違う学校の人と友達になるように心掛けたいものです。
 とはいっても、人見知りをしてしまう人、「内弁慶」の人もいることでしょう。そんな人は、「試験の時に上がりやすい、緊張して力を発揮しにくい」といったクセと通じる所があるのです。
 つまり、「ありのままの自分よりよく見せよう」という気持ちが強すぎるために、構えてしまうのです。相手のことを気遣うことは頭に入れておかなければなりませんが、その上で、「ありのままの自分を知ってもらおう、ありのままの自分をぶつけていこう」という気持ちを持ってみましょう。あまり構え過ぎないで、素直な気持ちで人に接してみるのです。
 「どうしても人の中で話ができない」といった場合、聞き役に徹してみるのも一つの方法です。ニコニコしながら人の話をウンウンと聞ける人は素晴らしい人であり、自然に人間関係は開けてくるものなのです。
 「いろいろな人とすぐ友達になれる・何でも食べられる・どんな所でも寝ることができる」―二十一世紀に社会に出て活躍するためには、この三つの事が大切だと私は思います。もしかすると、東大や京大を卒業すること、頭がいいことよりも、これらの事が大切になってくるかもしれません。
 この春にかけて、人との新しい出会いを積極的に心掛けてみてはどうでしょう。

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