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1989年(平成元年)6月号

充実した「夏」のために〜生活リズムを守り 過ごし方のチェックを〜

■年間計画の中の夏

 晴れ間にそそぐ光は夏の色を日増しに強めていきます。夏休みまで一ヶ月余り。この夏をどう過ごせばいいか考えてみましょう。
 「夏を制するものは入試を制す」と言われています。確かに四十日にも及ぶ休みの過ごし方が重要なのは言う間でもありません。しかし、気を付けなければならないのは、「夏休みの過ごし方で、すべてが決まってしまうのではない」ということです。
 合格を果たす上で一番大切なのは、冬休みから一・二月にかけて気力の充実と体調の維持を図り、上昇気運に乗ることなのです。冬への盛り上がりに向けた全体計画の中で「夏」を考えてみましょう。
 まず気を付けたいのは、体調維持のためにも生活リズムを大きく変えないこと。計画を詰め込み過ぎるのも、また逆に「時間があるから」とダラダラ過ごすのも、休みが終わった時に後悔することになってしまいます。
 特に、休みがスタートして二、三日をダラダラ過ごすと、ずっと尾を引いてしまうことになるでしょう。少なくとも七月に入ってからは、「夏に向けて頑張るんだ」という気持ちで、生活習慣をきちんと守っていきたいものです。スポーツで言えばウォームアップの時期に入るのです。
 中学生の諸君は期末テスト後の気のゆるみに気をつけましょう。中一・中二生は、その時期つけたダラダラ癖を夏休みに持ち込んでしまい、特に中一生では九月に大きな差がついてしまう場合がみられます。
 受験生の諸君は、八月中旬のお盆のころに一区切りをつけ、一休みして後半に臨む体制をとりましょう。

■夏の学習ポイントは?

 具体的には次の二つが夏の学習ポイントです。まず、一学期のゼミの重要ポイントを集中的に学習すること。これが一番重要です。アイマイ・バラバラになりがちな知識を、集中的な勉強によって、互いにつながりのある確実な知識に変えていくのです。
 もう一つは、できれば二学期以降の重要なテーマをざっと予習していくことです。
 講習会では、この二つのポイントを押さえるようになっていますから、積極的に参加して頑張ってほしいと思います。
 受験生の諸君、特に国・私立の難関中学・高校を受験する諸君で、「少し自信がある」という人には、夏休みのどこかで、志望校の問題、過去四―五年分に当たってみることを勧めます。そして、答えをノートに書き、自己採点してみましょう。
 「もう済ませている」という人も二回目、三回目に挑戦してみてください。難関校志望者の場合は特に、過去の出題を繰り返し、徹底的にやる作業が、秋から冬にかけて重要な意味を持ってきます。問題そのものを覚えてしまうぐらいの心意気で臨みたいものです。

■苦手科目はこうする

 不得意科目のある人はどうすればいいでしょうか?英語や算数・数学のどれかが不得意な人は、一学期、または前学期の内容に戻り、どのテーマでつまずいているのか、はっきりさせましょう。そして、夏休みをフルに使って、毎日少しずつでも、易しい方から取り組んでいきましょう。
 国語の場合は、易しめで薄い問題集を一冊使い、問題文自体をじっくり読みながら答えを書いていきます。その答えの横に、赤ペンで模範解答を書き込み、比べてみるのです。
 理科・社会が不得意な場合は、易しくて薄い参考書を、割合短い期間に通して読んでみることが必要です。「覚えよう」と考えないで、物語を読むように最後まで読み、全体のイメージをつかんでみましょう。
 学習計画で全般に大切なのは、夏休みを二つ、または三つの時間に分け、進み具合をチェックし、計画を修正すること。「あれもこれも」で計画倒れになるのは避けたいものです。

■自分を大きくしよう

 夏休みは生活面でも自分を大きくするチャンスです。海や山に出掛ける人、中には海外に出掛ける人もあることでしょう。あまり勉強に間が置くとリズムが狂ってしまいますが、四十日間ある休み中、一・二回はふだんできない体験をしてみたいものです。
 これからの時代は違った土地・地域で生活する体験が大切になってくると思いますが、その際にちょっとした心掛けをすれば、より楽しく過ごすことができます。
 その心掛けとは、自分の行く土地についての「情報」を知ることです。国内でも、海外でもその土地の歴史や地理・人々の暮らしや産業などを頭に入れて訪れると、より充実した体験ができるでしょう。
 旅行など、ふだんできない経験をしたときは、発見したこと・感じたことを、家族の中で話し合ってみましょう。新学期の教室で、休みの中の体験や発見を友達同士、あれこれと話するのも楽しいものです。
 最後に、長い夏休みえを学習・生活の両面で充実したものにするために、その日一日どう過ごしたか、できれば毎日振り返ってみてチェックすることを勧めたいと思います。特に受験生は学習面に重点を置いたチェックが大切です。
 その日一日がどうだったか、寝る前なら寝る前というふうに時間帯を決めて、簡単な日記をつけるだけでも随分と日々の過ごし方が変わるものです。
 生活のリズムを大切に、「大事な夏だ」という気持ちを持ち、しかもあまり欲張らず、一日一日を確実に過ごしましょう。
 お父さんやお母さんと話し合ったり、相談したりしながら、この夏の計画を立て、ぜひとも充実した四十日を過ごしてほしいと思います。

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